女は満足そうにうなずくと、
「あぁ、君が藤原君なのね」
と言った。

「なんで俺なんですか!俺以外にもみんないじめてましたよ!」
必死で訴えるが、はたから見てもおかしいくらい声が裏返っていた。

 女は、さもおかしそうに笑うと、
「じゃあ例えば誰がいじめていたのかしら?」
と問う。

 藤原は必死で周りを見渡すと、
「杉山だって、小山だって、森下もみんな俺よりひどくいじめてました。俺もたしかにやったけど、でもっ、他のやつらのほうがよっぽど醜くやってました!」
と言った。

「藤原、おめー何言ってんだよ!」
名前を出された杉山があせって声を出した。

「そうよ!なんで私なのよ」
小山も身を乗り出して抗議した。

 麻紀子が、もうひとりの森下を見やると、彼はガタガタと震えて小さくなっていた。