両手を肩のあたりまであげてヤレヤレと首を振るお兄ちゃんに、先ほど床に転がったアヒルを投げつけてやった。
コーンといい音をたてて当たったのに、涼しい顔で変わらずヤレヤレを続けている。
くっ、この石頭!
動じないお兄ちゃんが悔しくて、私はムスッとしてベッドの上で胡座をかいた。
それを見つけたお兄ちゃんはさっと眉を顰める。
「優絵、胡座なんかかくなよ。ちょっとは女の子らしくしろ」
お兄ちゃんは変人のくせにこういうことに厳しい。
咎めるお兄ちゃんに、私はふいと顔を背けた。
「嫌。女の子らしくしろなんてイマドキ古いよ。男女差別ー」
「好きだねー、その言葉。あっ、パンツ見えてるよ」
「見えないよっ!」



