――――――
痛みがひいて恐る恐る目を開けると、満面笑顔のお兄ちゃんが私の脇に手を差し入れて抱き起こした。
「やっぱり、優絵は猫だったか。そんな気がしたんだよな」
目の前にあるのは、キラキラしたお兄ちゃんの瞳。
ああ、私ヤられたんだ。
このバカ千里に。
「ニャーン」
文句を言おうと口を開いても、思ったとおり、出てきたのは言葉のかわりに猫の鳴き声だった。
「え?何?なんて言いたかったの、優絵」
お兄ちゃんの意地悪っぽい声が憎たらしい。
そこら辺の女の子より綺麗な頬のひとつでも、爪で引っ掻いてやろうかな。



