「日菜子……。わたし、負けちゃった……」
佐伯先輩に、お兄ちゃんをとられちゃった。
さっきの、勝ち誇ったような笑みが忘れられない。
そしてお兄ちゃんとのキスシーン。
あの映像が頭に浮かぶたびに、わたしの胸はきゅっと締め付けられる。
「まだ、負けてないよ」
日菜子がわたしの頭を撫で続けながら言った。
日菜子にしては珍しくはっきりとした物言いに、わたしは思わず顔を上げた。
するとそこには、今までに見たことがないほど真剣な顔をした日菜子がいて、息を飲んだ。
日菜子はわたしの頭から手を離し、今度は両肩に置いた。
「このままで、いいの?」
日菜子の真っ直ぐな目がわたしを除きこむ。
黙ったまま日菜子を見つめ続けるわたしに、日菜子は畳み掛ける。



