体育館倉庫の裏に、わたしは蹲って隠れていた。
ここならきっと誰も来ない。
体育祭の最中にこんなさびしいところへ来たい人は、誰もいない。
わたしを除いて。
膝を抱えこんで、ひたすら地面を這うアリを見つめた。
佐伯先輩に負けてしまった。
その事実が、こんなにもわたしを打ちのめす。
佐伯先輩に抱いた嫌な予感は、このことだったんだね……
「優絵ちー」
背後からそっとかかった、柔らかい声。
日菜子だとわかっていても、わたしは振り向けなかった。
日菜子はそんなわたしにはおかまいなしに、わたしの体に腕をまわす。
「優絵ちー、しっかりして」
言葉とは裏腹に、日菜子はわたしの頭を撫でる。
わたしはくるっと体の向きを変えて、日菜子に縋り付いた。



