そっと怜奈ちゃんを盗み見ると、わたしの心配をよそに怜奈ちゃんが笑いをこぼす。
「それにしても、さすが須藤先輩だね。二井だって速いはずなのに、最後余裕で差をつけちゃって」
「うん……。びっくりしたよ」
怜奈ちゃんに同意すると、なぜか憐れみの表情でわたしの肩をメガホンで叩いてきた。
「なのになーんですぅちゃんはこんなかなー」
「こんなって何!?」
失礼ね!
わたしだって一生懸命生きてるんだから!
ぷーいと怜奈ちゃんから顔を逸らした視線の先に、仲間に囲まれたお兄ちゃんの姿を発見した。
すぐにお兄ちゃんと目が合う。
お兄ちゃんはわたしに気づくとにっと笑って、口の形だけでばーか、と言った。
瞬時にわたしの頬が熱くなる。
お兄ちゃんはそのまま、木村先輩にどつかれながら側を通り過ぎて行ってしまった。
お兄ちゃんのばか……
去っていくお兄ちゃんの背中を目で追っていると、誰かがとんとん、と肩を叩いてきた。
振り返ると、心配そうな顔をした日菜子がいた。



