「がんばれ!お兄ちゃん!」
気づいたらメガホンで、思いっきりそう叫んでいた。
二人とも一生懸命走ってる。
だけど、わたしが勝って欲しいのは―――
ぎゅっとメガホンを握りしめた。
一瞬、二井くんがお兄ちゃんを追い越したように見えて、あっと声を漏らした瞬間、さっとお兄ちゃんが前に出た。
まるで風のように。
今までの接戦がうそみたいに二井くんと差をつけ、そしてそのまま、軽やかにゴールテープを切った。
その瞬間、わああっと大きな歓声が上がる。
「……」
ゴールで待っていた人たちに、笑顔でハイタッチするお兄ちゃんにきゅんとした。
「すぅちゃん」
「……」
「すぅちゃん、メガホン返して」
「あ、ご、ごめんっ!」
やっと気づいたか、とため息をつく怜奈ちゃんに、あわててメガホンを返した。
やばやば。
見とれちゃってたよ……
怜奈ちゃんにばれてないよ、ね?



