胸のあたりで、ざわりと音がしたような気がした。
黙って、喜ぶ先輩を見つめる。
そんなわたしには気づかないで、佐伯先輩はお兄ちゃんの腕をとった。
「早く準備しなきゃ、開会式間に合わなくなるよ。行こ、須藤くん」
「あ、おい」
「またね、優絵ちゃん。今日はがんばろう!」
可愛らしいガッツポーズを作って、わたしの前からお兄ちゃんを攫っていった。
残されたわたしはぽつんと突っ立って、二人が去っていくのを眺めた。
もやもや、する。
いやな気持ちをかき消すために頭をフルフル振って、時間がないことに気づいて急いで更衣室に走った。



