体育館に、気持ちがいいくらい音が響き渡った。
「もう!絶対許してやんない!べーっだ!」
頬を抑えて痛がるお兄ちゃんに舌を出して、日菜子の手を引っ張り体育館を去る。
二井くんはびっくりしたみたいで、目をぱちぱちさせながら私たちを見送った。
ぎゃははは、と木戸先輩の大きな笑い声を背中で聞く。
「さっすがセンリ妹!センリにこんなことできるのは他にいないぜ!」
「やだ、須藤くん大丈夫!?」
「あの子妹なの?凶暴~っ」
「須藤くーん」
木戸先輩はともかく、女の子たちの声にむっとして振り返った。
だけど、
私が振り返った先に見たものは
隣にしゃがみこんだ、お兄ちゃんの頬に心配そうに手を当てる佐伯先輩の姿。
お兄ちゃんを見つめる佐伯先輩の目に、私はどうしてか胸が騒いで仕方なかった。



