逃げようとするお兄ちゃんの腕を、木戸先輩が逃がすものかと掴んでいる。 「おまけに二井までいねーし!何?俺だけ仲間はずれ?あ、そゆことー!」 「うるさいんだけど。…あ、優絵」 ここでやっとお兄ちゃんが私に気づいて、木戸先輩も顔をこっちに向けた。 よっしゃあああ! 今日菜子をお兄ちゃんに引き渡せば――― 「優絵ちゃん♪」 にこ、と笑う玲人の手にはカッターが。 「………」 やっぱ、簡単に捕まってくれるわけはない、か…… ひきつり笑いを浮かべて、お兄ちゃんに助けを求めるのはあきらめた。