…ちなみに、ヤツのお手つきはピンポイントで続けて起こり、どーんどん札が『亡くなって』いきます。

-こっ、このA級戦犯がぁ~っ!(°□°;)-

中には、私の得意とする札が幾数枚もありまして、気づけば苦手な札ばかり。

それでもよく頑張った方で、強いその人とは二枚差。丁度残り二枚。
二枚取れば、その強い人と一騎打ちのサドンデスに持ち込める。(そう言う規定)
しかし一抹の不安が。取り札、残り十枚あたりから、事もあろうに、朗詠者が、空札を混ぜて詠む、『フェイント詠み』を始めていたからである。
(この場合は、実際に百人一首には存在する歌で、もうすでに詠み上げ誰かに回収されてしまっている、場に存在しない詠み札)

♪朝ぼらけぇ~っ

ちなみに、朝ぼらけから始まる歌は二首あって、

朝ぼらけ
有り明けの月と
見るまでに
吉野の里に
降れる白雪

朝ぼらけ
宇治の川霧
たえだえに
あらはれわたる
瀬々の網代木

場には、『宇治の川霧』の方が残っている。

『あり…』

その瞬間、ヤツの目が光り、それと同時にそれを見た私は、この勝負を落とした事を悟った。