「暗っ!!」


いきなりの真っ暗闇に、郁未は早速頭を冷やされたらしい。


確かにここは暗い。

明かりがない。

暗いどころじゃない、道すら見えない。


暗すぎて互いを認識すらできない……が、未だ手を繋いでいるためなんとか進んでいる。


プシュー、ガコンッと人形が俺たちを驚かす。

いきなりパッと明るくなって、血みどろ男が襲ってくるポーズ。

そして雨の音に雷の音。

しくしく泣いてる髪の長い女。

うわ、井戸から何か出てきた。


暗闇の中で、人形たちが頑張って驚かそうとしている。

……あ、この橋揺れてたのか。


そしてふと気付いた。

手が震えている。


……郁未?


そういえば、さっきから無言だな。

いつも前にいる郁未が、今日は俺のやや後ろを歩いて――寒い、とかじゃないだろうな、コレは。