「……おまえは何がしたいのかまったくわからない」

「名前を呼んでほしい」

「木岐」

「それ苗字だし、お兄ちゃんと一緒」


……本当にこいつは読めない奴だ。


「まぁ、泣いても泣かなくても木岐さんにそれを伝えて俺に仕向けたことには変わらないか」

「仕向けたなんて、そんな」

「俺に恨みでもあんのかよ?」


……コイツは、本当によくわからない。

俺になついてんのか、それとも嫌ってんのか。


「気付いてほしかったの」

「あ?」

「あたしの名前、知らないことに」


俺は――全く予想してなかった返答に唖然とするしかなかった。


「視野に入れてほしかった」