そして、ふと今更ながらに気付いた。

郁未……俺に好きって言ったことあるか……?


今まで、当たり前のように俺の隣にいた。

当たり前のように、態度で『好き』って示してきたように思う。


でも、肝心な言葉は聞いたことがない。

あんなに分かりやすいなら、一回くらい言ったことあっても不思議じゃないのに、そういや言われたことがない。

あえて、言わなかったのか……?


あーもう、何なんだこれ!

このモヤモヤした気持ち。

イライラの次はモヤモヤかよ!


このままベッドの上でうだうだしたまんまじゃ無限ループだと悟った俺は、洸稀に電話をした。

5コール目で電話に出た洸稀は、開校一番。


『お前ついにやったのか』


……と言われたけど理解不能。


「……何のことだ?」

『いや、お前ならやると思った。木岐郁未の人生変えたってこと』

「あの話もう洸稀のとこまで広まってたのか……」