「っつーわけだ」

「お前、そんな楽しいことがあったのか」

「いやあれは地獄だった」


いつものたまり場で、木岐さんに会ってから誕生日のことまで一気洸稀に話した。


「木岐さんて、お前から見てどんな人だった?やっぱり鬼?」

「鬼だ鬼だ。妹想いなやっさしー鬼ぃさんだ」

「漢字変換ちげーよ」


こうして洸稀と話すのは、少しだけ久々だ。

洸稀も学校に来たり来なかったりだからな。


「まぁ、とりあえず木岐郁未から龍が離れていかなくて俺は安心したけどね」


洸稀は時々、郁未を見守っているかのような発言をする。

ずっと前から知っているような……。


「洸稀」

「ん?」

「なんで郁未のこと、そんなに考えてやってんの?」


みんな木岐さんが怖くて、郁未を避けてる。

なのに洸稀は本当の郁未の姿を知っているし、怖がってもいないみたいだ。