重く、人にのしかかって来るような口調に、今まで叫んでいた紗耶香の悲鳴がピタリと止まった。


 潤む瞳で、ネコを見ている。


「俺はお前のお姉さんを殺したりしない。安心しろ」


 たったそれだけの、なんの根拠もない言葉。


 しかし、それは言葉以上の何かを持っていて、まるでネコは無実だと立証されたような感覚に陥る。


 将来有望な詐欺師だ。


「……ごめんなさい」


 紗耶香はうつむき、小さな声で謝罪した。