『ここまででいい』

家の前に着いて俺は青木に言った。

『え?なに言ってんの?』

『もう大丈夫だから』

『家に上がられるの嫌?』

『嫌だったら家を教えたりしねーよ。ただ……』

『ただ?』

……これ以上カッコわるい姿を見せたくないというか、世話になるのは気が引けるというか。


『うーん。よくわかんないけど嫌じゃないなら上がるね。お邪魔しまーす!』

『え、ちょっ……』

そうだ。青木はこういう女だった。

俺の言うことを素直に聞くヤツじゃなくて、許可しなくても強引に物事を進めようとする性格。

青木は家の中に入って、俺をベッドに寝かせて『すぐ戻るから!』とコンビニまで猛ダッシュ。そして今に至る。