「あ…り…がとう」 俯いて小さな声で言ったお礼。 相手に聞こえているかわからないが、聞こえていたらそれはそれで恥ずかしくて、顔が上げられない。 な…なんで何にも言わないわけ? しばらく二人の間には沈黙が走った。 沈黙に堪えられなくなり、どうにかしないとなーっと考えていたら、急に頭の上に違和感を感じた。 「な…なに?」 それを合図に顔を上げる。 するとあたしの頭に手を置いている、失礼最悪男が少しだけ笑った。 「あぁ」 その一言を発したと同時に、頭の違和感がなくなった。