始業のチャイムとともに、さっと散る女子軍団。

バシッ!

「いてぇ!」

バシッ!バシッ!

「何すんだよ!?」

里佳子のコネで、自分達のお気にのチケットをとの目論見が外れた腹いせが、僕の後頭部に一極集中した。

隣で里佳子が笑いを堪えていた。

「あいつら、いつか呪ってやる」

「加瀬ェ、今日ひまぁ?」

「お前、一日一回は俺に、ひまぁって聞くよな。そんなに俺ってひま人に見えるのか?」

「忙しい人には見えない」

「ははは、残念ながらそんな俺でもひまじゃありません」

「そっかぁ……」

「ん?」

いつもの里佳子と反応が違う。

里佳子は、両頬を掌に乗せて物思いに耽っていた。