「その好きってやつが、よく判んないんだ……」

「今年の大河ドラマ、知ってっか?」

「ん?それ、関係あんの?」

「俺は観てねえが、今年の大河ドラマは坂本龍馬が主人公らしい。小説の世界でしか坂本龍馬を知らねえけど、龍馬も若い時は自分は何をしていいのか判らず、随分と悩んで悶々としたらしい。それが、外国という未知の存在を知るようになってから、大きく変わったんだ」

「リュウノスケの本借りて、前に読んだ気がする」

「うん。龍馬が偉かったのは、自分の好奇心に正直だったところだ」

「好奇心に正直?」

「ああ。ここで言う正直ってえのは、行動するって事だ。お前だって何かに興味を持ったりする事はあるよな。けど、それに対し今まで自分から行動をした事があったか?どうだ」

どうだ、なんて言われてもなあ……

僕が今まで興味を持ったり、好奇心を抱いたものって、そんなに無いんだよなあ……

ゲームとかにしても、それ程って訳じゃないし。同級生の中には、音楽が好きで、路上ライブとかやっている奴も居るけど、僕はただ聴く方だし……

「とにかく、悩むだけ悩め。悩んだ分、便秘の後のクソみたいに、ぶっといのがドバッと出て、案外すっきりするもんだ」

ここまでせっかく高得点を稼いでいたリュウノスケだったけど、最後の台詞で、一発レッドカード。

まあ、可哀そうだから今回はイエローカードにして置いてやろう。