「その事を俺に話そうが話すまいが、お前の腹の中じゃもう決まってんじゃねえのか?第一、もし俺が反対したらどうするつもりだったんだ?」

「反対はされないと思っていたから、そんな事考えてなかった」

「じゃあ、今この場で反対だって言ったらどうする?」

「反対なの?」

「仮の話として言ってんだ。いいか、普段から俺が何も言わねえのには、それなりの考えがあっての事なんだ。いつも言っているよな。自分の道は自分で決めるしかねえんだって。親が何でも決めちまったら、どうなると思う?」

「……」

「世の中、全て思い通りに事が運ぶとは限らねえ。上手く行かなかったり失敗する事の方が殆どだ。その時にだ、もし親とか他人から決められたもんだったら、百人が百人とも、その責任を決めたもんにおっ被せちまうもんなんだ。言い訳の種にしちまうんだ。けど、自分の意思で決めた事だったらどうだ?失敗は全部自分の責任になるだろ。人生ってえのはな、いかにして失敗の責任を取りながら生きて行くかの繰り返しなんだぜ」

「じゃあ、勝手に決めても良かったの?」

「ああ。こういった理由でこういう事をするよって話なら、俺はお前に、判った、頑張れ、何かあったらケツは拭いてやるって言うな。俺はそういうのをお前に求めている」