さよなら異邦人

「あの子達が居ると、おちおち親子喧嘩も出来ねえな」

「だね……」

「せっかくのストレス発散イベントが妙な具合になっちまった」

「何だよ、ストレス発散のイベントって」

「互いに腹の底に溜まっているもんを、一つ残らず吐き出す事が、新しい理解を生むんだ。人間、適当なところでガス抜きしねえと、つまらねえ事でパンクしちまう。今夜のお前がそうさ。」

「それは、リュウノスケが酔っ払って、」

「まあ、最後まで聞け。家に帰って来た瞬間に、俺は判ったんだ。お前の中でいろんなもんが燻っていて、そいつが出口を求めていたのがな。こりゃあ、きっちり吐き出させねえと、おかしくなっちまう、そう思って俺はきっちりお前からの喧嘩を受けたんだ」

「何だかこじ付けみたいに聞こえるんだけど」

「そう聞こえるならそれでもいいよ。ところで、お前が話したかった事って何だ?」

「今日、母さんとこに行ったんだ。でね、そこの社長さんを紹介されて、夏休みの間、アルバイトしないかって、言われたんだ」

「返事はしたのか?」

「即答はしなかった」

「どうして?」

「どうしても何も、リュウノスケに一言断ってからと思ったからさ」