さよなら異邦人

「ごめん、ごめん。ほら、もう泣かないで」

「サンジュ、何処にも行かない?」

「ああ、行かないよ」

「もう、けんか、しない?」

「しない。約束する。リュウノスケもちゃんと謝ってよ」

「あ、ああ。す、すまん……」

さっきまでの勢いは何処へ行ったのやら。まあ、それは僕にしても同じだけど。

とにかく、アニータが僕の家出を引き止めた形になって、親子喧嘩は収まった。

それでもまだ心配顔でこちらを窺がうアニータ。

リュウノスケが、ニキータに彼女を落ち着かせるようにと言い、頷いたニキータはアニータを抱き抱えるようにして寝室へと戻った。

寝室の扉が閉まると、僕等は互いに顔を見合わせた。

「お前が家出しようとするから…いや、やめよう。またわんわん泣かれたら堪らねえ」

「うん。リュウノスケ、もう遅いから寝ようか」

「話があったんだろ?茶ぁでもしばきながら話すっか?」

頷いた僕は冷蔵庫から麦茶を出し、リュウノスケに差し出した。