さよなら異邦人

彼女達は恐る恐る顔を覗かせ、事の成り行きを心配げに見ていた。

ちょっと前までなら、とてもじゃないがリュウノスケに口喧嘩でなんか敵わなかった。

とにかく、リュウノスケは口が達者で、本人も常日頃、

「喧嘩は拳骨でするもんじゃねえ。口でするもんだ。それが、一番の喧嘩上手っていうもんさ」

と、のたまう位だから、息も吐かせずにぽんぽんと言葉が飛び出て来る。

でも、この夜の僕は負けていなかった。

「端からリュウノスケに父親としての責任とか義務を期待しちゃいないさ。けど、一生のうちで一回か二回は、それらしい事を求めたっていいだろ!」

「父親としての義務だあ、責任だと?やっとチンポに毛の生えたばっかのガキが生意気言ってんじゃねえ。そういう難しい言葉を持ち出しゃあ、頭を下げると思ったら大間違いだ!」

「陰毛は関係ねえだろ!」

「おおありのこんこんちきだ!」

「意味判んねえ!」

段々喧嘩の焦点が判らなくなって来た。こうなると、リュウノスケのペースだ。

最早、最終手段しかなかった。