さよなら異邦人

自分が何故教師を目指すようになったかを語り出したアニータは、熱に浮かれたかのように喋り続けた。

「勉強、したくても、お金ない人の子供、学校行けない。ペルー、お金ない国。なぜ、お金ない。それは、学校出た子供、少ない、大人になっても、勉強しらないから、仕事、ない。センセーも少ない。だから、子供おしえること、出来ない。私、早く、たくさん勉強して、センセーなる」

アニータの話を聞いて、僕は何も言葉を返せなかった。

全てに恵まれた日本に居ると、そういった事になんか気付かない。

勿論、この日本にだって貧富の差はある。

現実にうちと里佳子のところでは、想像もつかない位、収入に差があると思う。

派遣切りとかいって、仕事に就けない人も大勢居る。

でも、日本という国では、余りそれを実感出来ない。どうしても、一部の人達だけなんだという意識でしか捉えていないから。

本当に、明日食べる食料も無い貧しさに陥らないと、実感出来ないのかも知れない。

彼女は、それを体験している。そういう現実を肌で感じて育って来たんだ。

そして、僕よりも年下なのに、自分がそういった中で何が出来るかという事を考えたんだ。

そういうアニータに対し、尊敬の念を抱くと同時に、言葉には言い表せないショックを受けた。