母からのメールのお陰か、その後は彼女達の存在も然程気にならなくなった。

と言うのは嘘で、逆にめっちゃ気になりだした。

特にアニータ。

ニキータと誤解を招くような事があった晩から、暫くの間は気まずい空気があったけれど、彼女の方がそれを払拭させるように話し掛けてくれた。

「ニキータ、お酒、強くない。飲む、人が変わる。だから、サンジュ、気にしない」

そう言って貰った時は、ほっと胸を撫で下ろした。

アニータが言った通り、普段のニキータはアニータよりも大人しく、無言で居る事が多い。

あの晩の事は、本人も殆ど覚えていないのか、顔を合わせても僕に迫って来た時とは別人のようだ。

そんなに地理とか歴史には強くなかった僕だが、彼女達のお陰でペルーの事には随分と詳しくなった。

有名なインカ帝国があったのも、ナスカの地上絵もペルーだし、それ以上に驚いたのは、普段僕等が食べているジャガイモの原産地が、ペルーのアンデス山脈だという事。

ジャガイモって、昔から保存が利く便利な食料という事で重宝されていたとも知り、そんな事学校じゃあ教えてくれないぞと、思ったりもした。

リュウノスケが、日頃言っている、

「学校だけが勉強の場じゃない」

を初めて実感した。