さよなら異邦人

こういう状況になると、僕は決まって母に会う事にしていた。

僕が生まれて間もなく、父と母は離婚した。

けれど、世間一般の離婚夫婦とは違って、父も母も互いの家に通ったり、会ったりしていたから、二人が離婚していたという事実を認識したのは中学生になってからだった。

僕が中学生になると、母はよく内緒で二人きりで会おうよとメールをくれた。

こう見えても、外見は大人びた僕だから、普通の格好をして母と会うと、親子という感じじゃなく、恋人同士に見えるらしい。

母からすれば、それがとても嬉しい事で、一緒に食事をしたり街中を散策したりするだけでも若返ると言っていた。

息子の僕が言うのも変だが、母は充分過ぎる位若い。

前に、母と一緒のところを同級生に見られた事があったが、翌日、クラス全員が僕にこう聞いて来た。

「お前、あんなすげえ美人と何処で知り合ったんだ?」

「加瀬君、年増のおばさんにエンジョされているって、ほんと?」

どう言っても僕の母とは誰も信じてはくれなかった。

実際の年齢は三十七だから、実年齢でも充分に若いのに、見た目は更に十歳は若い。

当然、モテまくっている。けれど、父と違って母は上品と言うか、品行方正の塊みたいな人で、ナンパはされても簡単にひょいひょいとくっついては行かない。

僕は、間違いなくこの母から血を受け継いでいると思う。

思うけれど、時折りリュウノスケの血が顔を覗かす時がある。

頑張れ、ジュンコの血!