さよなら異邦人

「て、てめえ!俺のニキータに手を出すかぁ!」

間一髪の助けかと思ったら、それは大間違いだった。

玄関を開けるなり、開口一番の言葉がこれだ。

「誤解だよ、誤解!」

と、必死になって弁明する僕をもう一人の当事者であるニキータは、にこにこしながら見つめている。

お前のせいなんだぞ!

という心の叫びを目に込めて、僕はニキータを見つめ返した。

ところが、どう勘違いされたのか、いよいよ彼女の眼差しが普通じゃなくなってしまい、その雰囲気を察したリュウノスケは、更に勘違いを深めて行った。

危機的状況は、どんどん混迷の淵を彷徨いだして、収拾がつかなくなってしまった。

気になったのはアニータの態度だった。

リュウノスケの後ろに隠れるようにして立っていた彼女は、困惑の表情をみせるばかり。

「ちょっとこっちへ来い!」

リュウノスケが奥の寝室へ来いと促した。

とにかく、第一段階はクリア。

第二段階は、父親の誤解を解く事。