麦茶じゃない!?

「サンジュ、勉強お疲れ様、サルードゥ、乾杯ね」

乾杯ねって、これ酒じゃないか。それもかなり強いやつ。

「どうした、サンジュ、お酒嫌い?」

「好きも嫌いも、高校生はアルコール飲んじゃいけないの」

「嘘!?ペルーでは、ハイスクールでもパーティでお酒出るよ」

「ここは日本なの。高校でパーティなんかもしないんだぜ」

「それじゃ、全然楽しくないじゃない」

「そうだね…て、高校は勉強しに行くところで、遊びに行くところじゃないから」

「サンジュ、まじめね。あなたのオトーさん、全然違う」

昨日今日会ったばかりのリュウノスケを遊び人と見抜いた眼力は、さすがというか、類は友を呼ぶというか。

「オヤジがどうして不真面目だって判ったの?」

「私に、会ってすぐ、テンゴ・ウン・イホ、でもソイ・ソルテロと言ったね」

「リュウノスケ、ペルー語喋ったの?」

「ノー、ペルーの公用語はスペイン語です。オトーさん、話した意味、息子一人居る、でも独身ですの意味。この後に、オトーさん、ノ・キエレ・セル・ミ・ノビオ?と言ったね」

ノ・キエレ・セル・ミ・ノビオ……

リュウノスケの事だから、何と言ったかは想像つくが、ニキータから聞くのがちょっと怖かった。


*ノ・キエレ・セル・ミ・ノビオ=私の恋人になってくれませんか