さよなら異邦人

「アタシも加瀬と同じ。まだ決めかねている」

「リカッペはいいわよ。別に進学しなくたって、将来はお婿さんでも貰って女社長になれるじゃん」

苦手な女子2号の和久井恭子が、溜め息混じりに言葉を返した。

「うちなんかさ、家業継ぐって言ってもリカコのところとは大違いだから、結局は大学出て、安定した企業に就職しなきゃなんないのよねえ」

広尾の商店街で実家が煎餅屋をやっている、苦手女子3号の金子希が2号の溜め息に同調する。

どういう訳か、里佳子の周りに集まる女子軍団は、苦手なタイプばかり揃っている。

苦手5号までが取り巻きに居るのだから、彼女達が僕を一斉に口撃してきたら、間違いなく僕は秒殺されてしまうだろう。

ところが、男子達に言わせると、

「お前が羨ましいよ。毎日ああしてAKBに囲まれてさ」

AKB……売れっ子のアイドルグループみたいな名前を付けられているが、Aは、校名の青山北の頭文字で、Kは北から、Bはブスじゃない、という何の捻りもない略語だ。

苦手4号と5号は、マルキュー辺りでしょっちゅう雑誌の読者モデルとして写真を撮られているから、他の男子が言うようにブスではない。

里佳子を含めた女子軍団に近付きたがる男子は後を絶たず、橋渡しを僕に頼んで来る奴もかなり居る。

人が好いと言うか、僕は一度もそれを断った事がない。

結構面倒なんだけれど、断った時の方が後々大変だから、嫌々そうしているだけなんだ。