さよなら異邦人

しかし、他の男子に言わせると、それだけでもお前は幸せ者だと言う。

アイドル並みの容姿をしているから、彼女と付き合いたがっている男子は確かに多い。

他校の生徒までが、わざわざ地下鉄に乗って彼女を一目拝みに来る程だ。

そんな彼女と、こうして気安く友達付き合いをしている僕自身は、どう思っているのか……

正直判らない。

多分好きなんだろうと思う。嫌いじゃない事は確かだ。

けれど、その感情を恋と呼べるかとなると、違うような気がする。

それに、彼女自身にしたって、僕のような何の取り得も無い男を彼氏にしたいとは思わないだろう。

きっと、互いの間にはそういった意識が一切無いから、こうして気安く話す事が出来たり、一緒に買い物とかも出来るのだと思う。

周囲の目は、当事者である僕達とは違うようだけど。

生活指導のゴリ山が、浅草寺の雷神みたいに門の横で睨んでいるのをやり過ごし、何とか遅刻せずに間に合った。

けれど、その分朝食抜きだったから、下駄箱で上履きに履き替えている最中も腹の虫がグウグウ鳴いた。