さよなら異邦人

小学生の時以来、久し振りに父と布団を共にした。

尤も、頻繁に彼女を連れ込んでいる時は、さすがに同衾する事はなかったし、同棲中は部屋が別になっていた。

リュウノスケと同じ布団に寝ると、日頃の半分も睡眠が取れない。

原因は、寝言と寝べえ。

寝べえ……所謂おならである。

この寝べえがやばい。

リュウノスケのおならには、三段階の種類があって、音と臭いで大別出来る。

第一段階はハイウエイを走る大型ダンプの警笛音のようで、音と共に振動が来る。

世間一般で言われている俗説通り、大きな音だから然程臭わないが、

ボファッ!

と発せられた音に目覚めない人間はまず居ないだろう。もし目覚めなかったら、その人間は眠っている間に黄泉の世界へと旅立って行ったんじゃないだろうか。

絶対、外にも聞こえていると思う。

第二段階。駅を通過する『のぞみ』が発する警笛音みたいな音で、こいつがちょっとくせもの。

プゥワーッ!

という甲高い音の後に押し寄せる臭いは、仮に音で目が覚めなくとも、間違いなく異臭で覚める筈だ。

若しも覚めなかったら、うなされるのは必死。

第三段階……想像するのも厭だ。

音無しか、してもスカーッとか、出だしだけピとかプの音が微かにするのみ。

昔、子犬を飼っていた事があった。父の布団に潜り込み、一緒になって寝ていたその子犬が、突然眠りから覚め吠え出した。そして、余りの臭いにくしゃみを連発。

以来、子犬は父の布団には近付かなくなった。