さよなら異邦人

せっかくのすきやきも、その夜に限って言えばご馳走にはなってくれなかった。

今夜からリュウノスケと一緒に寝るのかと思うと、一気に食欲が失せた。

憂鬱の余り、僕は誰とも口を利かなかった。

一言も喋らずキッチンのテーブルに座っていると、酔いの回った外人達がやたらと話し掛けて来た。

みんな底抜けに明るい。

ラム酒の瓶を僕に差し出し、

「かんぱい、かんぱいね」

と言って来る。

ここで、普通の親なら未成年が酒を飲んじゃ駄目だとか言うのだろが、リュウノスケはアルコールの事になると、思い切り寛大になる。

飲め飲めと囃し立てては、ラム酒を瓶毎ラッパ飲み。

気分はジャック・スパローなんだろうが……

南米人特有の陽気さが、僕には疎ましく思えた。

ああ……今夜からどうすんだよ。

女の子が同居する云々は、別段問題は無かった。

毎度の事だから。

問題は、僕の居場所が無くなるという事。

部屋を使われて、しかもパソまで使われちゃう。

そういえば、アニータが僕のTシャツを寝巻き代わりに着ていたが、これから先もあんなふうに衣類とか着られちゃうのだろうか。

彼女が着たシャツとかを僕が着る……

妙な事を妄想してしまった。

やばい、ほんとにやばいよ……