さよなら異邦人

ふと、僕は不思議に感じた。

父は彼等とどうして知り合ったのだろう。

特に、アニータと二キータとは……

その事を父に尋ねてみた。

「二キータの父親とおじいさんが、去年まで日本に出稼ぎに来ていたらしい。茨城の方の工場で派遣社員として働いていたんだけどな……」

父の説明だと、故郷で待つ妻と娘達の為に、毎月働いて得たお金を殆ど仕送りしていたらしい。

その仕送りを故郷の家族は大事に貯め、それで珈琲農園を買った。

日本より安い物価とは言え、農園を手に入れた位だから、相当の額だと思う。

彼女達の父親とは、一度だけ面識があったらしい。

「淳子の紹介でな」

「母さんの?」

「そうだ」

十何年も前に別れた母と、父が定期的に会っているのは知っていた。

僕もたまに会ったりするが、母の仕事が忙しいから頻繁に会う事は無かった。

母の会社は、貿易関係の事務手続きや、外国人達に日本語学校やアルバイト先を斡旋する仕事で、アニータの父親もその関係なのだろう。

「淳子の実家が山口の宇部で、日系三世になる二キータの親父さんの曽祖父が同じ宇部で苗字も一緒。で、いろいろ話を聞いてみると、遠い親戚だと判ったんだ」

母の実家へはまだ一度も行った事は無いけれど、よく話には聞いていた。

山口の下級藩士の出だそうだ。

母曰く、幕末の時には高杉何とかっていう有名な人の部下だったとか。