「お、お前、本当に家出じゃないんだな?ちゃんと、帰って来るんだよな?」

リュウノスケが、荷造りをしている僕を見て、今にも泣き出しそうな顔をした。

「サンジュ、アタシも寂しいよ。だから、早く帰って来てね」

「そうよ、早く帰って来てくれないと、アタシだけじゃなく、アニータもオトーさん、口説くよ」

ニキータの言葉は冗談に聞こえない。

「リュウノスケ、僕が居ない間、彼女達と妙な事になっちゃ駄目だぞ。そんな事になったら、二度と帰って来ないから」

「判った、判ってるって。でも何だよな、こんな可愛い子ちゃん達に囲まれながらメイク・ラブがノーだなんて、蛇の生殺しだぜ」

「外で頑張れば」

「そうする……」

富良野から戻った僕は、漠然とだが何かを見つけられた気になった。

その事を確認したくて、僕は一人旅を思い立った。

パートナーは、母から譲り受けた一眼レフ。

僕が見つけたものの答え……

これから向うそこにあるかなんて、本当は関係無い事かも知れない。

何故なら、自分の心の中にその目的地は存在しているから。

旅をするのは、心の中にある目的地を確認する為なんだ。

丁度一年前、我が家にアニータとニキータがやって来たその日。

僕は機上の人となり、その地へと向った。