さよなら異邦人

男性と女性が半々の八人。

彼等は手にラム酒やビールを持って来て、それをかざしては父とハグをした。

現金な父は、男性のハグでは少し腰が引けているくせに、女性のハグとなると傍から見ても判る位、身体を密着させて応えていた。

僕達も含めて全員で十二人。

さすがに狭すぎるから、奥に続く父の寝室との襖をとっ外して座るしかなかった。

テーブルに乗せ切れない程の料理を見て、みんな片言の日本語で、

「美味しそう!」

を連発させた。

「みんな揃った事だし、サンジュに紹介してやる」

そう言って僕の事を先ず全員に紹介した。

一人一人の名前と国籍を憶えるのが大変だった。

エクアドル人にペルー人、フィリピン人も居るし、中国系カナダ人も居る。他にもトリニダード・トバゴにコロンビアから出稼ぎに来ている女性軍。

この部屋で日本人は僕と父の二人だけ。

父と一緒にやって来た女の子は、アニータのお姉さんで、二キータという。

双子と勘違いされる程そっくりだが、二キータは既に二十歳になっているそうだ。

とにかく彼等は賑やかだった。

そんな中、一番若いアニータと二キータだけが、ひっそりと身を寄せ合いながら、部屋の隅で静かに料理を食べていた。