さよなら異邦人

キッチンで包丁を振るう父の姿は、結構様になっている。

飲食店での仕事もかなり経験しているせいもあるけれど、自分が作った料理を人に食べさせて、美味しいと言って貰う事が好きなのだろう。

基本的に人を喜ばす事が好きな性格をしているようだ。

すきやきの具材をあらかた用意し終えると、今度は魚を捌き始めた。

刺身とムニエル用に切り分け、皿にどんどん盛り付けて行く。

とんでもない量だ。

いくら四人で食べると言っても、盛り付けられている量はハンパじゃない。

「ねえ、こんなに食べれないよ」

「後から人が来る」

「何人?」

「この子達の親戚に友達、全部で七、八人は来るんじゃないか」

「こんな狭い部屋じゃ入りきんないじゃんか」

「ぎゅうぎゅう詰め、最高じゃねえの。肌が触れ合う近さで語り合う…そこから新しい恋が生まれるかも知れねえぞ」

「別に肌と肌が触れ合わなくたって、リュウノスケは一年中恋してんじゃん」

普段から自分を一目ぼれの天才と自称している父だが、僕は失恋の神様という称号も与えている。

ようやく窓の景色も夜らしくなって来た時間に、彼等はやって来た。

その団体さんは、まるでWカップのフーリガン達のように賑やかで騒がしかった。