さよなら異邦人

 急性白血病。


 それが彼女の病名だと知らされたのは、小説に書いたのと同じく一学期最後の日だった。


 一週間前から学校を休んでいた坂巻千鶴子の事を担任の女教師が、


「坂巻さんは、急性白血病という病で入院しています。みんなで、坂巻さんの回復を願って、千羽鶴を折って上げませんか」


 当然、クラス全員が賛成し、放課後もみんなで残って千羽鶴を折り続けた。


 私はその中で、一人複雑な思いに駆られながら、鶴を折り続けていた。


 坂巻千鶴子が入院をする三日前、私と彼女は最初で最後のデートをしていた。


 誘ったのは彼女の方からだった。


 顔を赤らめながら、


「佐伯君、お願いがあるんだけれど」


 それは唐突過ぎる位、唐突な告白だった。


「佐伯君の事が好き。佐伯君は、私の事をどう思っているかも知っている。でも、一回だけ、一回だけでいいの。一緒に、海へ行ってくれないかしら」


 私は、特に深く考えもせず、いいよ、と味も素っ気も無い返事の仕方をした。