終業式まで休むと言っていた里佳子だったが、その理由はクラスの誰も聞いていなかった。

取り巻きの苦手女子軍団も、僕に聞いて来る位で、担任もその理由を言わなかった。ただ、その理由は知っているような素振りだったが。

僅か数日なのに、隣の席に彼女が居ない事が、これ程つまらないものなのかと僕は思った。

(寂しくなっても泣くなよ……)

泣きはしないが、寂しいなとはマジに感じた。

何度か里佳子にメールをしたが、一度も返信は来なかった。

7月第四週の週末。

僕はうきうきした気持ちで学校へ行った。

鎌倉の海へ、学校を抜け出して行った日から指折り数えて、まだ六日しか経っていなかった。

たった六日なのに、何十日にも思えた。

里佳子がバスから降りて来る時間を見計らって、僕は青山通りを行ったり来たりした。

一年の時から、決まった時間のバスでやって来る彼女なのに、その次のバスからも、またその次のバスからも、彼女は降りて来なかった。

時間ギリギリまで待ったけれど、彼女の姿は見れなかった。

ひょっとしたらいつもより随分と早く学校に来ているのかもと考え直した。

そう思い込みながらも、何処か僕の心は不安で押し潰されそうになっていた。

そして……

里佳子は来なかった。