僕は少しばかりぬるくなったお湯の中で、ついさっきまでこのバスタブに身を横たえていた里佳子の姿を想像していた。

彼女も浸かったこのお湯に、僕も包まれている……

て、やばい、これはマジでやばいぞ。

変な妄想なんかしちゃったものだから、ぬるくなったお湯なのに逆上せてしまった。

何とか気持ちを鎮め、大きく深呼吸をして浴室の扉を勢いよく開けた。

努めて明るく、いつも通りの感じで……

「加瀬ェ、長いぞォ」

里佳子はいつも通りだ。

「ああ……」

僕は……駄目だ。声が変に上ずっている。

里佳子はソファでジュースを飲んでいた……と思ったら、缶ビールだ!?

「お前ぇ」

「加瀬も飲めば」

「未成年がアルコールはまずいんじゃねえの」

「未成年はラブホもまずいっしょ」

「それは、リカコが、」

「か、せ、く、ん。ちっちゃいことは、気にしない、気にしない」

 何だか何処かで聞いた事があるような台詞……