さよなら異邦人

 午前8時30分。いつも通り、倉庫内が動き出す。パトランプを点滅させながら、フォークが縦横無尽に動き回り、私が引き連れた外人部隊がてきぱきと独楽鼠のように荷解きをして行く。


 今年の関東地方は空梅雨なのか、雨の日が少なく港の荷降ろしには助かっているようだ。


 しかし、その分蒸し暑さは尋常では無く、始業から一時間もしないうちに下着までびっしょり。喉は渇き、口腔内は唾液が粘つく。


 横90センチ、縦180センチの合板が一パッケージ150枚前後。大体1メートル乃至1.5メートル位の厚み。それが作業倉庫に次々と運ばれ、金属用のカッターでスチールベルトを切って行く。


 遠く、中国やマレーシアから運ばれて来た埃が、日本の倉庫で舞い上がり、それを南米人やアジア人が肺に入れて行く。


 代わり映えのしない作業……一緒に働く外人達は、いずれも倦んだ表情で機械的に動いている。


 昨日の自分なら、彼等と同じような表情で仕事をしていた。


 今日は違う。


 10時の休憩をこれ程待ち遠しく感じた事は無かった。


「佐伯さん、一服しましょう!」


「はい!」


 オペレーターの声に、いつになくはきとした声で応える私だった。