さよなら異邦人

175センチある僕の前に立った彼女は、思った以上に背が高い。

それでも、僕のTシャツがまるでミニのワンピースみたいだ。

長くて真っ直ぐな黒髪が、茶髪ばかり見ている僕にはすごく新鮮に感じ、思わず不躾な視線で見つめてしまった。

僕のそういう視線に気付いた彼女は、不安げな眼差しを見せながら後ずさりをした。

「リュ、リュウノスケなら、まだ仕事から帰って来てないよ……」

慌てて彼女から視線を逸らし、僕は意味も無く判り切った事を言った。

「リュウ、ノ…スケ?」

小首を傾げた彼女に、

「君を連れて来た男……僕の父親さ」

不安げな眼差しが、涙目になっている。

「僕が学校に行っている間に、君は連れて来られたんだろ?」

早口に捲くし立てる僕を悲しそうな目で見つめ、ゆっくりと首を横に振った。

「話、ゆっくり…あなた、喋る、早い」

顔立ちはまるで日本人そのものなのに、彼女は僕の言葉が聞き取れないと言う。

話す言葉も片言だ。

「君、ガイジン?」

「ガイ、ジン……」

暫く間を置いてから、彼女はこくんと頷いた。