さよなら異邦人

 珍しく息子が話し掛けてくれたので、私は少し気分が良くなった。


「このサイトには、お前と同年代の人が結構多く居るんだ。書いている作品だって、なかなかのものもある。ただ、父さんの世代にはついて行き難いジャンルが主流ではあるけどな」


「ふうん。例えば?」


「一番多いのは学園物のラブコメかな。その次がファンタジー系。父さんが普段書いているようなものは、比較的少ない」


「もう結構書いてんの?」


「そんなでもない。ほら見てごらん。ここに読まれたページ数が出ているだろ、これで、大体何人位に読まれているかが判る。このサイトから書籍化された作品なんか、ほれ、何十万とか何百万とかという単位だ」


「判ったような判らないような……父さんのはどれ位読まれてるの?」


「人気のある人達の十分の一か、それ以下だ」


 本当は百分の一位なのだが、私は少々見栄を張った。


「全然人気無いじゃん」


 私は苦笑いを浮かべながらも、少しずつ興味を示してくれた事で嬉しかった。


「今、父さんが一生懸命頭を悩ませているのが、この作品だ」


 私は『さよなら異邦人』の読者ページを表示した。


「このアクタガワナオキって、父さんの名前?」


「そうだ」


 文豪二人をペンネームに……それは、虫けらほどかも知れないが、作家という夢に対する私なりの心意気を表したものだった。