さよなら異邦人

 白髪交じりの寝癖を帽子で隠し、妻の用意した昼食用の弁当をバックに入れ、団地入口のバス停へと急ぐ。


 いつもの時間、いつもの道、いつもの場所で交わされる挨拶。


 毎朝繰り広げられる光景の中に溶け込まされて、私の一日が始まる。


 一昔前は、バス停でバスを待つ間や乗っている時の時間潰しといえば、新聞や週刊誌等に目を通すというのが見慣れた光景だった。


 それが今では皆が皆、ケータイ電話の液晶画面を見つめている。


 初めは、その光景に一種の異様さを感じたりしたが、今では私もその光景の一部となっていた。


 寸暇を惜しんで『さよなら異邦人』を更新しようと思い、サイトページを開いた。


 何度か続きの文面を入力したが、しっくりこず書き込みと消去を繰り返した。


 バスに揺られて20分。


 私の会社がある埠頭に着いた。


 今日もコンテナ船が横付けで、その巨体をこちらに向けていた。