さよなら異邦人

 家族は私がケータイ小説に夢中となっている事に、冷ややかな目で見ている。


 娘などは


「お父さん、これ私の名前そのまんまじゃん。断りも無しに使わないでよ」


 と文句を言い、揚句の果てには名前の使用料だと、小遣いをせびった。


 里佳子という娘の名前は、父親であるこの私が名付けたものなのだから、本来なら著作権料は私に帰属すると思うのだが。


 幸い、息子の龍之介は私の書いたものにまるで興味など持っていないから、自分の名前が作品の中で使われていてもお構いなしだ。


 父親のやっている事にまるで興味を持ってくれないというのも、ちょっと寂しい気はするが。


 サイトのエンドユーザーを意識し、それに沿った内容にと思いながら書き進めて来たが、主人公のサンジュウゴとリカコが鎌倉のラブホテルに入ったところでパタリと書けなくなってしまった。


 卓上の目覚まし時計を見ると、深夜の2時。


 明日も仕事で早いから、ぼちぼち身体を休めなければならない。


 サイトページを閉じ、私はケータイ電話を充電器に差し込んだ。