さよなら異邦人

びしょ濡れで乗り込んだタクシーの運転手は、特に僕達を不審に思わず国道沿いのホテルまで走ってくれた。

乗った場所から一番近いホテルへと頼んだら『マーメイド』というやたら派手なラブホテルで停まった。

パネルで好きな部屋を選ぶようになっていた。

目的がそういう目的じゃないから(多分……)とにかく空いている部屋ならと、適当に選んだ。

部屋は思った程広くなく、ベッドだけがものすごく大きく感じた。

冷房が効き過ぎていて、身体が濡れていた事もあったから二人して震えた。

「風呂、入った方がいいかも……」

冷えた身体を温めるつもりで言った言葉だったが、里佳子には違う意味に取られたんじゃないかな。

バスルームに入り、お湯を溜める。

トイレを使う音が聞こえた。

成り行きとはいえ、やっぱラブホは拙いんじゃないかな……

その反面、心の何処かでは何かを期待する自分が居る。

段々と心臓がドキドキして来た。

バスルームを出ると、トイレを終えた里佳子と鉢合わせになった。

怪我の痛みでなのか、それとも別な理由でなのか、強張った顔をしていた。