さよなら異邦人

「加瀬ェ、アタシにBVD穿かせんのかよ!」

「ん!?」

見ると、僕が買った下着は男物のボクサーパンツだった。

「それにブラ忘れてるし!」

「ごめん、ブラはすっかり忘れてた」

「まいっか。柄パンじゃないだけマシだもんね」

「お前、珍しく寛大だな」

「今日は特別だから」

僕はお目玉を食わなかった事で、特別という言葉の意味を深く考えなかった。

特に機嫌を悪くするふうでもなく、里佳子は買って来たサンドイッチを美味しそうに食べ始めた。

彼女は、食べている間中もにやにやしていた。

「俺の間抜けさがそんなにおかしいか?」

「それもあるけど……」

「何だよ、はっきり言えよ。さっきからにやけてばかりで、変だぞ」

「こういう事って、何年経っても絶対に忘れないだろうなって思っただけ」

「うん、そうかもな。何年か経って、同窓会とかで久し振りに会ったら、絶対この事で俺をドジな奴だって、ネタにすんだろうな」

「ネタにはしないよ。ネタになんか……」

彼女からそれまでの陽気さが消え、急にしんみりとした口調でそう言った。