それは、梅雨が終わり掛けた七月の初旬だった。

いつもより早く学校から帰って来ると、玄関に見慣れない靴が並んでいた。

靴のサイズから、それが女性物だと直ぐに気付いた僕は、

今度はどんな言い訳を父はするんだろう……

と考えた。

父子二人での生活だから、家と言っても木造平屋築三十年超の3DK。

玄関横の四畳半が一応僕の部屋になっているのだが、そこの扉が開いていた。

扉の入口で、僕は呆然と立ち尽くしてしまった。

何故って、ベッドに女の子が寝ていたからだ。

しかも、まだ一度も袖を通していないお気にのTシャツを寝巻き代わりにして。

僕は立ち尽くしたまま、その女の子をまじまじと見つめていた。

デニムのショートパンツから覗く、長くて健康的な足をこちらに向けて投げ出し、無防備な寝顔ですやすやと眠っているその子は、小麦色の肌をしていた。

すごくちっちゃな顔は、あどけなくて、どう見ても僕より年上には見えなかった。

とうとうオヤジのやつ、ここまでロリになっちまったのか!?

淫交罪で新聞に載った父の姿を、僕は想像してしまった。