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放心状態で地下鉄の駅へ向かう途中。
「――紗矢花?」
「あ……、天音……」
私に声をかけたのは、同じ学校の真鳥天音だった。
「どうした? 何かあった?」
暗い表情の私を気づかってか、近くの噴水で話をすることになった。
ベンチに腰かけ、ライトアップされた噴水を眺めながら今日の出来事を打ち明ける。
「そっか……。それは辛かったな」
さっき起きた事件を簡単に話すと、天音は私の頭をポンポンと撫でた。
「悠里みたいに純粋じゃないから、浮気されるのかな。……本命になれないのかな」
もっと自分に魅力があったら。
彼にずっと優しくできたなら。
離れていかなかったのだろうか。
「疑って、嫉妬してばかりの黒い自分が嫌だから、真っ白な心になりたい」
できれば、何でも許せるほどの広い心を手に入れたい。
「――だったら。その願い、叶えようか」
「え?」
「俺ならその願い、叶えることができるかもよ」
隣に座る天音は、至近距離で私と目を合わせる。
「本当……?」
「タダでは、ないけどな」



