雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~

遼の家は地下も含めて3階建ての一軒家。

実家なのにも関わらず、両親は仕事の都合でずっと不在らしく、そのせいでこんな広い家に一人で住んでいる。

庭も広々としていて車5台分は余裕で停められそうなスペースがあった。


「紗矢花は何飲む?」

「アイスティーがいいな」


いつもの窓際のソファに腰掛けバッグを床に置く。

スマホをチェックすると陽介からメールが届いていた。

『犬、飼った』というメッセージの下には愛らしいつぶらな目をした白い仔犬の画像が添付されていた。


「遼、これ見て?」


自然と笑顔になった私はグラスを出している遼のところへ駆け寄って、スマホの画面を見せる。


「可愛いね、……紗矢花みたいだ」


遼は微笑み、私の横をスッと通り過ぎる。

そのとき。

ほのかな香水の香りが鼻をかすめ、思わず彼の後ろ姿を目で追った。

クールで爽やかな香り。


そのせいなのか。あるいは彼の言葉のせいなのか。

私の心臓が軽く音を立てる。